本書は、ぬいぐるみなどの手芸作品を題材として、コンピュータグラフィックスの基礎やシミュレーションを用いたものづくりについて解説する書籍です。
ぬいぐるみの型紙づくりやビーズ細工のデザイン制作などには、「立体を平面に変換しなければならない」「最初から最後まで一本の糸で編めるようにしなければならない」などの制約があります。筆者は、そういった制約をアルゴリズムやシミュレーションによって解決することで、ユーザがインタラクティブにデザインを行えるソフトウェアの開発を行ってきました。本書では、そういったビーズ細工のデザインやぬいぐるみの型紙生成などを支援するソフトウェアを題材に、画像形式などのCGの初歩的知識をはじめとして、モデリング・レンダリング・シミュレーションなどの考えかたを学ぶことができます。本書を通読すれば、CGを用いた課題解決について新しい知見が得られるでしょう。
CGを使ったものづくり(デジタルファブリケーション)を行っている人にはもちろん、CGの数理的側面に苦手意識を抱いている方や、CGを使った新しいサービスやアプリケーション、研究テーマなどを探している人におすすめです。
<本書の特徴>
・編みものやビーズ細工などの手芸を題材として、コンピュータグラフィックの基礎が学べます。
・随所にシステム開発に関連するコラムが挿入されており、CGを使った課題解決の考えかたを学ぶことができます。
・第8章では、Blenderを使ってモデリングを行います。解説どおりに手を動かすことで、実際に簡単なモデリングを体験できます。
このような方におすすめ
◎ CGを学ぶ専門学校生、大学生
◎ パーソナルファブリケーションに取り組んでいる方
◎ 趣味でモデリングなどを行っていて、CGの数理的側面に興味を持ち始めた人
○ 小規模な製造業の従事者
○ 家庭科や情報科の教員
主要目次
Chapter 0 手芸とデジタルファブリケーション
Chapter 1 ステンシル×画像表現
Chapter 2 パッチワーク×陰影処理
Chapter 3 あみぐるみ×形状表現
Chapter 4 ぬいぐるみ×物理演算
Chapter 5 カバー×集合演算
Chapter 6 ビーズ細工×経路計画
Chapter 7 設計製作支援×拡張現実
Chapter 8 Blenderでモデリングしてみよう
五十嵐悠紀(いがらし ゆき)
お茶の水女子大学卒業、東京大学大学院修士課程、博士課程修了、
著書に『AI 世代のデジタル教育 6 歳までにきたえておきたい能力55』(河出書房新社)、『